Question 03 問われる日本の危機管理

釈量子

 もはや、一触即発状態にある朝鮮半島情勢。政府は、国民の生命・安全・財産を守るために、最悪の事態を想定し、万全の体制を整えるべく努力する義務がある。万が一朝鮮半島で戦争が起きた場合、日本政府は日本人を救出しなくてはならない。その日本人には、①韓国にいる日本人、②北朝鮮にいる日本人(拉致被害者)、③日本にいる日本人、の3種類ある。

①韓国にいる日本人

 まずは韓国の在留邦人保護だ。現在、朝鮮半島に約3・8万人の日本人が居住している。朝鮮半島有事となれば、韓国の在留邦人の救出が課題となるが、2015年の安保法成立、集団的自衛権の行使によって状況が改善されたとはいえ、「相手国の警察権の代行」の範囲内でしか救出活動を行えず、それすら相手国の承認が必要だ。

 2015年10月、韓国の黄教安首相は「有事の際に日本の自衛隊の受け入れを認める」と韓国国会で答弁したが、野党から猛反発が起こった。韓国次期大統領の有力候補である「共に民主党」の文在寅氏は、自衛隊の受け入れに反対している。反日感情が強い韓国では日本の自衛隊を韓国領土に入れることに強い拒否感がある。

 現在、日本政府は、韓国への渡航や現地の最新情報に注意を促しているだけだが、有事に至る前に3・8万人を救出することは物理的に不可能。「避難してください」というのは、韓国にいる日本人に大きな不便をかけるが、政府は不要不急の人は帰国するよう指示すべきだ。

②北朝鮮にいる日本人(拉致被害者)

 北朝鮮による拉致被害者はどうなるのであろうか。安倍首相も答弁しているように、基本的に米国に頼るよりほかなく、日本独自に行動を取ることは難しい。

 しかし、北朝鮮有事が起きたら、拉致被害者救出の唯一のチャンスとなる。もし北朝鮮から日本への攻撃があった場合は自衛権の行使として、自衛隊特殊部隊を派遣し、拉致被害者を救出すべきだ。

③日本にいる日本人

 3月30日、自民党の安全保障調査会は、「北朝鮮の脅威が新たな段階に入った」とした上で、他国のミサイル基地などを攻撃する「敵基地攻撃能力」の保有を政府に提言したが、議論は低調。弾道ミサイルの着弾を想定した住民避難訓練も先月、秋田県男鹿市で行われた1回のみだ。

 一方の野党は、北朝鮮が挑発行為を繰り返すなかでも、「森友学園問題」で安倍首相の揚げ足取りに終始し、国会議員に与えられた質問の機会を活かせていない。国防意識はゼロと言ってよい。昨今の状況に鑑みれば国会では、国防のための補正予算成立に取り組みつつ、有事法制の不備をどのように補うのか、法改正や特措法の制定も含めて意思決定すべきだ。

 幸福実現党は2009年春、北朝鮮による弾道ミサイルを「飛翔体」と呼び、あたかも有事でないかのようにふるまう自民党政権では国家国民を守りきれないという、国防上の危機意識から立党した。もとより抜本的な国防強化のためには、戦争放棄や戦力不保持などを定めた憲法9条の改正が必要だ。しかしながら、北朝鮮や中国などの脅威が増すなか、国防強化には一刻の猶予も許されない。「今、そこにある危機」に即応すべく、改憲までの間、憲法前文で謳う「平和を愛する諸国民」とは言えない北朝鮮などに対しては、憲法解釈の変更により9条を適用しないことを鮮明にし、主権国家として国際法上認められる実力の行使を可能とするよう改めて提言する。

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